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独自の有機栽培技術「BLOF(ブロフ)理論」の研究と人材育成で、安心・安全な農産物が普及する社会を実現します。

従来の農業の常識を覆す「BLOF理論」で持続可能な未来を創造する

持続可能な未来を創造する、日本発の画期的な農業ソリューション。

小祝政明

「作物の収量は農地の広さに比例する」「慣行栽培に比べて有機栽培では収穫量が下がる」。こうした従来の農業の常識を覆す「BLOF理論」を提唱し、世界の農業を大きく変えようとしている株式会社ジャパンバイオファーム。

自然界に存在したメカニズムに着目

「BLOF」とは「Biological Farming」の略語で、「生態系調和型農業理論」という意味をもつ。有機栽培のための革新的なテクノロジーだ。提唱者の小祝政明氏は、幼い頃から実家の農業を手伝った経験をもち、26歳で本格的に農業をスタートした。大学で外国語と農業を学んだ後にプロのバイクレーサーとして活躍したが、レースで大怪我をしてリハビリ生活を余儀なくされた際に、「食や環境の大切さを改めて実感したことが、農業に関わるきっかけになった」と振り返る。

就農後は、オーストラリアの有機農業研究所で牧場の土壌改良を研究し、有機野菜宅配サービスの農家側に向けた栽培コンサルタントなどを行うとともに、自ら打ち立てた理論で農業を実践。約20年近い歳月をかけて完成させたBLOF理論が日本の農家から大きな注目を集め、2019年には国連総会SDGsカンファレンス(技術学術検討会議)にも参加した。小祝氏はSDGsをテーマにした国連職員向けの会議において、ザンビアの干ばつ地でBLOF理論を用いて農作物をつくるという取り組みを発表。世界の叡智が集った13の発表のうち、見事第一席に選ばれた。

「細胞をつくるアミノ酸、生命維持に不可欠なミネラル、生育・施肥を支える土壌という3つの分野に分けて農業を考察し、科学的・論理的に営農していくのがBLOF理論です。ポイントを簡単に説明すると、大きくて丈夫な根をつくること。自然界にもある酵母などの力を借りてふかふかの土壌をつくり、発酵のメカニズムを利用して特別な技術で製造した液肥をたっぷりと根から吸わせることで、同じ米や野菜でも収量は大きく増え、栄養価も高いものが収穫できる。さらには、米や野菜自体が丈夫になるため病害虫に強く、有機栽培でもすくすくと育ってくれるのです」

小祝氏がこう説明する理論の根幹を成すのは、古くから自然界に存在した植物の生育メカニズムだ。「たとえば2017年に、日本の理化学研究所が植物に酢酸を与えると乾燥に強くなるメカニズムを発見しましたが、我々は実践などを通してそうしたメカニズムにいち早く気づき、すでに10年以上も前から実践していました。

我々の理論の根本は、すべて自然界で植物が当たり前のように行ってきたこと。私はそれに気づいただけです。そこから検証を重ねて理論を構築し、多くの農家の人たちが実践できるように、ノウハウと仕組みをつくりあげていったのです」

2016年からは東京大学や理化学研究所、小祝氏が代表を務める日本有機農業普及協会の共同でBLOF理論の実証実験を開始。数々の画期的な検証結果を得て、2020年には大手ソフトウェア会社の協力のもと、クラウドやAIなどのテクノロジーを使った「BLOF営農支援サービス」もリリースした。

新しい農業を広め、失われた森林を取り戻す

さらには多くの著作を出版し、農業大学で講師を務めるなど、自らの理論の普及や人材育成に注力する。そんな小祝氏が目指すのは、農業の新しい在り方を通じて世界中の森林を元の姿に戻すことだ。
「近年は日本でも集中豪雨などの異常気象が見られますが、その原因である温暖化の一因となっているのが、世界中で進む森林の伐採です。従来の農業では、より多くの米や野菜を収穫するためにはより多くの土地が必要だったため、人口の増加に伴い森林がどんどん破壊されて農地に変えられていきました」

対してBLOF理論は、根が深く入るように土を柔らかくし、根の表面積を増やすことで養分の吸収量を増やし、同じ面積の農地で2倍、3倍と収穫量を増やしていく農法。農地の面積を拡大するのではなく、土を縦につくることで単位面積の収量を大きく増やせるため、狭い面積でも丈夫で美味しく、栄養価も高い米や野菜をたくさんつくることができるのだという。

「そんなBLOF理論を普及させることで森林破壊を止め、世界の森林を少しでも早く元の状態に戻すことが、私の使命だと考えています」
2021年には、数々の事業を統括する株式会社BLOFホールディングスを設立。BLOFオーガニックコンソーシアムの名のもと、農業従事者や消費者のみならず、大手食品メーカーを巻き込んだ「日本の食と農業改革」にも着手する。

「まずは国や大手企業のバックアップを得て生産者を育てることで、食品メーカーや消費者に国産の良い素材を安定的に供給できる農業を日本で実現したい。そうした循環を確立させる中でBLOF理論を普及させ、近い将来には、自然と共生できる理想的な農業を日本から全世界に広めたいと考えています」

すでにインドやマレーシア、ベトナムなど、アジア各国から技術提供のオファーが届いており、中国ではすでにBLOF理論による農業がスタート。人類の将来を左右する可能性すら秘めた、農業で未来を変える画期的なソリューションに注目だ。


小祝政明
株式会社ジャパンバイオファーム 代表取締役

 

—Aldous Huxley, Newsweek

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